世界は思っているより固定されていない
同じ一言なのに、
その日は、やけに刺さった。
「それ、前にも言いましたよね」
責められた気がして、
胸の奥がぎゅっと縮む。
家に帰ってからも、
その言葉だけが残っている。
でも後日、
別の場面で、同じ言葉を聞いた。
「それ、前にも言いましたよね」
今度はなぜか、
「助けようとしてくれてるのかな」と感じた。
言葉は同じ。
声のトーンも、状況も、ほとんど同じ。
違っていたのは、
その言葉を受け取る前に
自分がいたところだった。
疲れていた日。
余裕がなかった日。
どうせわかってもらえないと思っていた日。
こういったところから聞いた言葉は、全部、きつく響く。
少し落ち着いている日。
誰かに認められたあと。
安心している日。
同じ言葉が、違う意味を持ち始める。
相手が変わったわけじゃない。
言葉が変わったわけでもない。
ただ、
受け取るところが、ほんの少し違っただけ。
もし最近、
何気ない一言に振り回されているなら、
無理に答えを出さなくていい。
ただそっと、半歩ずらしてみる。
世界は、思っているより、
そこに固定されていない。
